環境に対する意識

川を見ていると疑問に思うことがあります。
「ダムは本当に必要なのか」と。

ダムが出来るとダム直下の川は汚くなり、河原の
石はヌルヌルして滑り、異臭さえします。
ダム直下は流れがなく薄暗い景観
上流部は今まで山を守っていた木が伐採されたため、
地滑りが起こりダムの中に土砂が流れ込んでいます。
ダムのコンクリートは耐久性が50年~100年といわれていますが、
その前に流れ込む土砂堆積によってダム機能がなくなると
懸念がされています。
水位が下がったら、土砂止めの木がないため山崩れが頻繁に発生

高度経済成長期は建設ラッシュで、作ることが目的
でしたが、今の時代は、LCC(ライフサイクルコスト)
という考え方で建設コストを考えることが良いのではと
いわれています。つまり単に当初の建設費だけではなく、
その建築物の寿命が来た時に発生する撤去費(解体費)も
考慮すべきという考え方です。

日本の第一号となったダム撤去は熊本県の「荒瀬ダム」。
ダムができたせいで逆に洪水に悩まされ、漁業も大打撃を
受け撤去の方針が決まりましたが撤去費が膨大すぎて
撤去方針撤回に一時なりました。その後地元の方の強い
要望により撤去されることになりましたが、この撤去費は
88億円です。全国に実は不必要ダムはたくさんあると
思いますが、撤去費用は大変な額で、作るよりかかる
費用です。この将来の費用を考えると安易に作るべきでは
ないと思います。

ダムを造る目的も「治水のため」や「利水のため」などいわれ、
最近は治水も利水も目的の「多目的ダム」といわれるダムが
多くなりました。洪水対策の「治水」もしながら、飲料水や
農業用水確保の「利水」もするダムのことで、相反する両方の
目的を果たすことはどちらも中途半端で難しいですし、ダムが
出来たことで逆に洪水になったという例はいろいろな所で
起きています。「多目的」って聞こえが良い言葉ですね。

今後の人口減、経済成長の鈍化から水需要の減少予測や、
環境配慮の点からダム建設は今、大きな転換点を迎えています。
最近ではダム本体完成後、ダム建設が「違法」と判決された初の
画期的な例も出てきました。ここで違法とされたのは
ダム=洪水対策にはならない。ということです。
詳しくはこちら↓
熊本地裁「路木ダムは架空の洪水を根拠」
先に挙げたダム撤去も今までなかったことです。
日本初!荒瀬ダム撤去
今までは考えられない画期的な素晴らしい出来事で
将来の日本の川は今より良くなると確信しています。

二転三転しているここ群馬県吾妻渓谷に出来ようとしている
八ッ場ダムも昭和30年代の建設計画当時の目的(将来の
人口増を想定した水需要に備えてなど)は現在では当てはまらず、
作ることありきで利水や洪水対策、浅間山の噴火対策などの
目的が後からいろいろついてくる状態になっています。建設費も
当初は2110億円でしたが、今では4600億円にまで昇って
います。地滑り対策でこれからさらにアップする費用になる
見込みです。この費用はもちろん私たちの税金で払われます。

カヤックで川を見ていると環境に対してとても考えさせられ、
自然を守ろうとする意識になります。
日本の川は「政・官・財」癒着の象徴と訴えたのは
故・筑紫哲也さん。まさにそう感じざるを得ない光景もあります。
日本は四季があり、雨量も大変あるため自然は破壊しても
再生され問題ないという意識があるのが安易な環境開発の
原因ともいわれていますが、これ以上の開発は止めるべき
です。

これからの時代、開発されていない里山こそが宝であると
説く経済記者もいます。
詳しくは↓
里山資本主義
良書です。